前回のブログで弊社の取扱い製品について書いたところ、 「Analysis Plusのケーブルについて、もっと書きましょう!」 というご提案をいただきました。 以前からちょいちょいMitchell and Johnsonヘッドフォンとともに紹介していますが、もう少し詳しくご紹介しようと思います。 Analysis Plus社(アナリシス・プラス)はアメリカのケーブルメーカーで、もともと「コンピュータ解析」を生業としている企業です。紫色がメーカーのイメージカラーのようです。 同社は過去にとあるケーブルメーカーからケーブルの解析依頼を受けた際に、その結果から「このような構造にすればもっと良くなりますよ?」と提案したところ、それが受け入れられなかったため、「じゃあ俺たちで作っちゃおうか!」ということになって生まれたのがAnalysis Plusケーブルです。(この情報は大胆にざっくりと受け取ってください) このデモンストレーション、私だったら怖くてできません・・・ 方形波の応答による波形の変化は、高い周波数における損失および位相特性の劣化を意味しています。結果的に音楽の再生においてその倍音成分の忠実な再現を大きく損なってしまい、また微妙な位相情報で構成される音場のリアルな演出をも台無しにしてしまうこととなります。 同社は得意とするコンピューター・シミュレーションによってたどり着いた「理想のケーブル」理論は 低い周波数も高い周波数も導体の全てにわたって均一な密度で流れるようにすればよく、それによって理想の周波数特性はもちろん、狂いのない完璧な位相特性が得られる という結論でした。 それを実現するためには、表皮効果(周波数が高くなるにつれ、胴体の表面に集中して流れやすい)と、近接効果(周波数が高くなるにつれ、プラスとマイナスが近づいて流れるようになる)を排除する必要があると考えました。 ケーブル内を音声信号が周波数にかかわらず均一に流れるようにする。 そのために同社は試行錯誤します。 表皮効果の削減のために、ケーブルは導線の中心部分を少なくした楕円状になっています。 なるべく全帯域が同じ道を通るイメージです。 これがAnalysis Plus社の特許技術ホロー・オーバル「中空楕円構造」です。 次に、シールドケーブル内を通る2本の導線(通常楽器用、マイクケーブルは導線が2本通っており、その2本に外部ノイズの影響が無いようにシールド線で包んでいます)を電流密度が高くなる距離内に配置して、近接効果を削減します。 下の図はケーブルの断面図です。 そして、これが周波数によってどのような違いがあるかというと・・・ 信号の周波数が高くなるにつれ、隣接する導体内を流れる電流の密度が不均一になるんですね。 Analysis Plusのケーブルは導体の設計と配置をこのようにして 周波数によって電流の流れる密度が異なる点を改善し、均一になるようにしました。 下のイメージ図を見ていただくとお分かりになりますかね? 紫の導線(プラス)と黒の導線(マイナス)それぞれは楕円になっていて、その中心には絶縁体が配置された中空楕円構造であり、ケーブル内の配置も広い面積側が隣接しています。 この基本構造がAnalysis Plusのケーブルの大きな特徴で、入力信号に対して抵抗が少なく波形にひずみをもたらさずに送り出すので入力信号の波形により近い形で信号を送り出すことができます。 素線は高純度の無酸素同、いわゆるOFCです。これを楕円状に編み込んであります。 製品はさらに機種によってCopper(銅)そのままと、Silver(純銀)やGolden(24K純金)でコーティングされています。 ご存知のように銀は金属の中でも導電性が高いので、入ってきた信号が出ていくまでのスピード感、といいますかアタック、レスポンスが良いイメージです。抵抗なく流れていくイメージですね。金は質量が大きく密着度が高いので素線同士の密着性の高い導線となりますし、サビにくく劣化しにくいイメージです。末永くお使いいただけると思います。 ちなみにSILVER OVALスピーカーケーブルは 1.2mで¥85,000.- GOLDEN OVAL スピーカーケーブルは・・・ 1.2mで¥1,000,000.-です!しゃくまんえん! これはもう家宝、財産です! 実はAnalysis Plusのケーブルは約10年前から弊社で輸入販売を続けてきておりますが、主に楽器、ハイエンド・ホームオーディオ用の「太目」のケーブルが主でした。シールドケーブルやスピーカーケーブル、ラインケーブルも太目のケーブルです。 そんな中、iPod Ovalという純銀コーティングされた細めのラインケーブル(同軸ケーブル)がアメリカ本国でリリースされました。 そして、私がヘッドフォンの輸入販売を担当していた時に「リケーブル」を知り、 そのiPod Ovalケーブルを線材にして日本で発売を開始したのがSilver Obval Headphoneシリーズです。 このシリーズのケーブルは細めですので、楕円構造ではあっても中空構造ではない「第2世代」設計です。ですが、当然Analysis Plus社が求めた品質は十分にクリアしています。 SENNHEIZER HD650、HD800用のリケーブルです。特にHD800のバランス仕様は大変ご好評をいただいています。 HD800の「音場」がさらに広がるイメージです。 これは同じ線材を使用して製品化した3.5mmステレオMini-Miniケーブルです。 DAPとポタアンの接続用の15cmのラインケーブルです。こちらもご好評をいただいております。 既に販売しているこれらの製品はeイヤホン様にてお取り扱いをいただいております。 また弊社のWebショップ快音生活でも販売しております。 すでに発売から2年ほどになり、そろそろ新しい製品を出そうと考えていたところにMitchell and Johnsonヘッドフォンと出会い、弊社で販売することができるようになりました。バランス化を含めたリケーブルが可能なタイプのヘッドフォンですので、真っ先にAnalysis Plusでのリケーブルがイメージできました。 Mitchell and Johnsonのコンデンサードライバーの特徴は ・コンデンサードライバーによる高域特性とハーモニクスの細かな表現力 ・コンデンサードライバーでは再現しきれない低域をダイナミックドライバーで補強 ・良好な位相特性によって、音楽に含まれる倍音構成(ハーモニクス)の表現力が高い ・全帯域に渡るレスポンスの良さ です。ほかのヘッドフォンとは一味違う「表現力」があります。 これらの特徴がAnalysis Plus目指したケーブルの特性と融合するとどうなるか・・・ 私の印象としては「正確な伝送力」によって、コンデンサードライバーが一層「仕事しやすくなった」イメージを持っています。ああ、Mitchell and Johnsonのヘッドフォンってここまでできるんだなあ、なんて思います。引き立ててくれます。 きっとこの点はこれまで数回行ってきたイベント、店頭試聴会で、このJP1やMJ2のAnalysis Plusリケーブル+バランス再生をご体験いただいた方の方が、私よりもよくご存じだと思いますけど。(笑) シングルエンドタイプのGL1、MJ1用のケーブルはプラグの使用で現在も苦戦していますが、変換プラグをうまく利用すれば他社製のヘッドフォンにも利用できる可能性があります。バランス仕様でなくとも、十分に効果ありです。 Analysis Plusのケーブルは、「音が良くなる」とか「高域が伸びる」とか「低域が伸びる」とかいった言葉では説明できないケーブルです。
マイク、楽器、DAPからの出力信号を、より正確に「伝える」ケーブルです。 なので、これまでご使用いただいていたケーブルをAnalysis Plusのケーブルに交換することで、必ず「変化」をとらえていただけると思います。これまでよりも「情報が増える」という変化です。 ただ、その「変化」は必ずしもユーザーの求める「音」にマッチするかはわかりません。ぜひ一度お試しいただければと思います。 15cmの3.5mm mini-miniステレオケーブルであれば、既にeイヤホン様でもご視聴いただけると思いますし、フジヤエービック様にもご依頼いただければ試聴機をご用意いたします。 あとですね、来月頭にも・・・ 近いうちに新しい物もお披露目させていただきます! まずは「短い奴」からです! Analysis Plus Silver Oval Headphoneのページ www.analysis-plus-jp.com/zennheiser-cables.html Mitchell and Johnsonヘッドフォンはこちらから http://www.mjhp-jp.com/ コメントはクローズされています。
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